マレー蘭印紀行
どーも、おっさんです。
シンガポール旅行前に読んだ本がこちら
マレー蘭印紀行 金子光晴
1978年3月初版
今から42年前、私が6歳の頃の初版本です。
しかしながら、物語は昭和3年から昭和7年にかけて著者が異国放浪したものですから、今から約90年前ということになります。
日本占領時代の前、イギリス植民地時代のシンガポールが舞台ということですね。
著者の金子光晴は詩人です。
奥様の作家である森美千代とシンガポールに行くのですが、彼女は恋人を追ってパリに行ってしまいます。
1人残された著者が傷心の中、綴った紀行文です。
特に印象に残ったのが、こちら。
シンガポールは戦場である。焼けた鉄叉のうえに、雑多な人間の膏が、じりじりと焦げちぢれているような場所だ。
当時は、マレー人とインド人、中国人とアングロサクソンが入り混じるアジアの雑踏だったのがよくわかりますね。
それからわずか90年で近代国家になっていくわけです。
文中に出てくる、ロマンティックな言葉は現代からみるとまるで古文です。
椰子の葉越しの月
籐椅子
はしりのドリアン売り
額に牛糞をぬりこんだヒンヅー人
よだれ掛けのついたあっぱっぱのようなものを着た猶太街の女達
ベンガルやアラビアの商人
南洋産支那人
馬来土人
出稼人
亡命者と諜者
ジャランブッサル大通りの新世界
著者が旅した当時のシンガポールに思いを馳せながら、この本を片手に忘れ形見を探してみようと思います。